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顧客の声を商品開発につなげる|先に決める規程・権限・記録

顧客の声を商品開発につなげるにAIを使うとき、道具より先に決めることがあります。何を入れてよいか、誰が確認するか、記録をどう残すか。ここが決まっていないと、問題が起きたときに誰も判断できません。

規程を作る目的は、社員を縛ることではありません。迷ったときに判断できるようにすることです。線が引かれていないと、現場は「各自の判断で使う」か「怖くて使わない」のどちらかに振れます。前者は情報が漏れる危険があり、後者はせっかく契約した環境が使われません。どちらも避けたいので、線を具体的に引きます。分量は要りません。A4で1〜2枚に、具体例つきで書いてあれば十分に機能します。

この記事でわかること

  • 入れてよい情報とだめな情報の線引き
  • 誰が確認して、誰が責任を持つか
  • 記録として何を残すか
  • 規程に書く文の作り方

先に決める4つ

決めること 決めないと起きること
入れてよい情報の範囲 各自の判断になり、社外秘が外部サービスに渡る
出力を確認する人 誰も確認せず、誤りがそのまま外に出る
記録の残し方 問題が起きたときに、何が起きたか追えない
使ってよいサービス 個人アカウントで使われ、何がどこにあるか分からなくなる

1. 入れてよい情報の範囲

「機密は入れない」とだけ書いた規程は、現場では使えません。何が機密かの判断が各自に残るからです。具体例を10個以上載せてください。

入れてよい 入れてはいけない
業種・企業規模などの一般的な属性 取引先の会社名と担当者名
公開されている自社の製品情報 未公開の価格・原価・利益率
形式が決まった社内文書のひな形 顧客の個人情報を含む文書
一般的な業務の進め方の質問 契約書の全文(許可された環境を除く)

2. 出力を確認する人

件数と金額の両方で並べる。1社の強い要望と多数の弱い要望を分けて見る。

確認者は役職ではなく役割で決めてください。「上長が確認する」と書くと、誰の上長か分からなくなります。「この業務の担当者が確認し、社外に出す場合は◯◯が確認する」のように、名前が入る形にしてください。

3. 記録の残し方

  1. 誰が使ったか
  2. 何を入力したか(内容そのものか、種別だけかを決める)
  3. どの出力を採用したか
  4. 確認した人は誰か

記録を取っていることは社員に先に伝えてください。隠して取ると、あとで分かったときに信頼を失います。何を取り、どのくらい保存し、いつ消すかを公表してください。

4. 使ってよいサービス

禁止だけを決めて代わりを用意しないと、隠れて個人アカウントが使われます。禁止と同時に、必ず使える道を用意してください。

契約で確かめること

  • 入力した内容が学習に使われないか(法人版でも条項を読む)
  • データがどの国に保存されるか
  • 解約後にデータが消されるか。いつまでに消えるか
  • 事故が起きたときの連絡の取り決めがあるか
  • 再委託先があるか。あるならどこか

営業の口頭説明を根拠にしないでください。契約書のデータ利用条項を読んでください。読んで分からなければ、その部分を書面で確認してください。

ここで使うのは生成AI

文章を書く・要約する・分類する。事実の正しさは保証されないので、確かめる工程が要る。

この道具ができること・気をつける点

内容
得意 文章を書く・要約する・分類する。
気をつける点 事実の正しさは保証されないので、確かめる工程が要る。
任せ方 出力を人が確かめる工程を挟む。確かめる人と手順を決めてから始める。

任せてよい範囲

この業務は確かめてから使うに当たります。出力を人が確かめる工程を挟む。確かめる人と手順を決めてから始める。

この線引きは、精度の高さで決めるものではありません。誤ったときに何が起きるかで決めます。精度が99%でも、誤りが支払や外部への通知につながるなら人が全件を見る必要がありますし、逆に精度が80%でも、誤りがその場で気づける形なら任せて構いません。製品を選ぶ前に、この線をどこに引くかを決めておいてください。線が決まっていないと、確認の設計ができず、運用の重さも見積もれません。

起きやすい失敗

この業務でいちばん多いのは、声の大きい顧客の要望ばかりが上がり、多数の小さな声が消える。という失敗です。

なぜ起きるか

AIの出力は、間違っていても自信のある形で出てきます。人は、迷いのない書き方をされると確かめる気が薄れます。精度が高い道具ほど、この失敗が起きやすくなります。9割合っていると、残りの1割を探す気がなくなるからです。

防ぎ方

件数と金額の両方で並べる。1社の強い要望と多数の弱い要望を分けて見る。

防ぎ方を設計するときは、「全項目を同じ厚さで見る」をやめるのが要点です。全部を見ようとすると、時間が足りなくなって結局どれも薄くなります。項目ごとに精度を出し、誤ったときの影響が大きい項目だけを厚く見て、残りは抜き取りにする。この設計ができると、確認の時間が減ったうえで、いちばん危ない誤りは捕まえられます。

防ぎ方を「気をつける」で終わらせないでください。気をつけるのは仕組みではありません。誰が・いつ・何を見るかを、手順として書いてください。

規程の文の作り方

測れる言葉で書く

書き直す前 書き直したあと
機密情報を入力しないこと 取引先名・個人名・未公開の価格を入力しないこと
出力は必ず確認すること 社外に出す文書は、担当者と◯◯の2名が確認すること
適切に管理すること 利用記録を1年間保存し、四半期ごとに情報システム部が確認すること

例外の手順を必ず書く

規程どおりにできない場面は必ず出ます。例外を認めない規程は、隠れて破られます。「例外を認める条件」と「誰が認めるか」を書いてください。

効果をどう測るか

測る指標を先に決めないと、導入後に「効果があったか」を聞かれて答えられません。この業務なら商品改善につながった要望の件数。

導入前に控えておく数字

  1. 上の指標を、導入前の1ヶ月ぶん記録する(比べる相手が無いと効果が出せない)
  2. 件数の波を控える(月末に集中するのか、通年で平らなのか)
  3. いま何人が何時間かけているかを、推測ではなく実測で控える

数字は誰が記録するか

毎月記録する担当を決めてください。誰の仕事でもない状態にすると、3ヶ月で止まります。止まると、効果があったのか無かったのかを誰も言えなくなり、次に契約を見直すときの材料がありません。記録は複雑にしないでください。月に一度、数字を1行足すだけで十分です。凝った集計を作ると、作った人が異動した時点で止まります。

測るときに間違えやすいこと

  • 導入直後に測らない。慣れるまでは前より遅くなるのが普通で、そこで打ち切ると必ず「効果なし」になる
  • 件数だけを見ない。処理件数が増えても、確認が薄くなっていれば改善ではない
  • 平均だけを見ない。いちばん時間がかかった案件がどうなったかを一緒に見る

決めたあとにやること

  1. 全員に配る。配っただけで終わらせず、具体例を使って説明する
  2. 違反が見つかったときの扱いを先に決める(申告した場合は罰しない、など)
  3. 半年に一度、実態と合っているかを確かめる。合っていなければ規程を直す

規程が実態と合わなくなったら、規程のほうを直してください。守れない規程を残すと、規程そのものが軽く扱われます。

権限をどう設計するか

顧客の声を商品開発につなげるにAIを使うとき、誰が何をできるかを決めておかないと、事故のときに追えません。

権限 持たせる人 理由
使う 営業の担当者 実際に業務をする人
設定を変える 決めた管理者(1〜2名) 誰でも変えられると、変更の履歴が追えない
記録を見る 情報システムと管理者 事故の調査に要る
契約を変える 決裁権のある人 費用に関わる

退職・異動のときにやること

  1. その人の利用権限を止める(当日中に)
  2. 管理者だった場合は、後任を決めてから止める
  3. 個人アカウントで使っていたものが無いか確かめる

外部の人が関わる場合

業務委託や派遣の人にも使わせるなら、契約に守秘の条項があるかを確かめてください。社員と同じ権限を渡す前に、契約の範囲を見てください。

問題が起きたときの手順

起きてから考えると、対応が遅れます。先に順番を決めておいてください。

  1. 止める。誰の判断で止められるかを先に決めておく
  2. 範囲を調べる。いつから、どの案件に影響したか
  3. 知らせる。社内の誰に、社外の誰に、いつ知らせるか
  4. 直す。影響した案件をどう直すか
  5. 記録する。何が起きて、どこで止められたかを書く

止める判断を誰がするか

現場の担当者が止められる形にしてください。上長の許可が要ると、その間に被害が広がります。「止めて報告する」を認めてください。

社外に影響が出た場合

顧客の声を商品開発につなげるの結果が社外に出る業務なら、誤りが顧客や取引先に届く可能性があります。誰が連絡するかを先に決めてください。担当者が個人の判断で連絡すると、話が食い違います。

記録の残し方

  • いつ起きたか、いつ気づいたか(気づくまでの時間が次の改善点になる)
  • 何件に影響したか
  • どの段階の確認をすり抜けたか
  • 同じことを防ぐために何を変えたか

決めたことをどう浸透させるか

配るだけでは伝わらない

規程を配って読ませても、実際の場面では判断できません。具体例を使って説明してください。「この案件のこの情報は入れてよい、この情報は駄目」という形で、実際の業務を材料にしてください。

迷ったときの相談先を書く

規程に載っていない場面は必ず出ます。誰に聞けばよいかを規程に書いてください。相談先が無いと、各自が判断して使うか、怖くて使わなくなるかのどちらかになります。

新しく入る人への説明

営業に人が入るたびに説明が要ります。入社時の説明に組み込んでおかないと、知らないまま使う人が増えます。

半年ごとの見直し

見るところ 合っていなければ
規程どおりに運用されているか 守れない規程なら、規程のほうを直す
使ってよいサービスの一覧が最新か 増えた分・止めた分を反映する
記録が残っているか 残っていないなら、仕組みを直す
相談が来ているか 来ていないなら、相談先が知られていない

守れない規程を残すと、規程そのものが軽く扱われます。実態に合わせて直すことを恐れないでください。

入れてよい情報を具体的に決める

顧客の声を商品開発につなげるで扱う情報のうち、何を入れてよいかを具体例で決めてください。抽象的な規程は、現場で判断できません。

判断の基準

  1. それが外部に出たとき、誰かが困るか
  2. 契約や法律で守る義務があるか
  3. 公開されている情報か

3つのうち1つでも引っかかるなら、入れない側に倒してください。迷ったら入れない、という基準を先に決めておくと、現場が判断できます。

部門ごとに例を作る

営業で実際に扱う書類やデータを材料に、入れてよい例と駄目な例を並べてください。他部門の例では判断できません。自分たちの業務の言葉で書かれていないと、規程は読まれません。

例外を認める条件

どうしても入れる必要がある場面は出ます。「認めない」と書くと、隠れて破られます。誰の許可を取れば認められるか、その記録をどう残すかを書いてください。

環境によって線が変わる

環境 入れてよい範囲
個人契約のサービス 公開されている情報のみ
法人契約のサービス 契約のデータ条項を読んで決める
自社の環境で動かすもの 社内の情報取扱規程に従う

同じ会社の中でも、使う環境で線が変わります。環境ごとに書いてください。

あとから確かめられる形にする

決めただけでは足りません。決めたとおりに運用されているかを、あとから確かめられる形にしてください。

四半期ごとに見ること

  • 利用の記録が残っているか
  • 許可していないサービスが使われていないか
  • 確認の工程が実際に行われているか(抜き取りで見る)
  • 権限を持つ人が現職のままか

抜き取りの仕方

全件は見られません。月に5件だけ、無作為に選んで確かめてください。件数と金額の両方で並べるこの確認が実際に行われた形跡があるかを見ます。5件でも、続けていれば形骸化は止まります。

見つかったときの扱い

違反が見つかったとき、罰することを先に決めると、次から報告されなくなります。自分から申告した場合は責めない、という扱いを先に決めてください。隠されるほうが被害が大きくなります。

外部の監査に備える

営業の業務が監査の対象なら、AIを使ったことも説明が要ります。誰が何を確認したかの記録が、そのまま説明になります。記録の形式を、監査で求められる形に合わせておいてください。

記録を何のために残すか

記録は監視のためではありません。問題が起きたときに、何が起きたかを追えるようにするためです。この目的を先に伝えると、社員の受け止め方が変わります。

残す粒度

粒度 追える範囲 負担
誰が使ったか 利用の有無だけ 軽い
何の業務で使ったか どの業務で問題が起きたか 軽い
入力の種別 入れてはいけない情報が入ったか
入力の内容そのもの 完全に追える 重い。保管の負担と漏えいの危険が増える

内容そのものを残すかは慎重に決めてください。残せば追えますが、その記録自体が守るべき情報になります。

保存期間

業務の性質で決めてください。顧客の声を商品開発につなげるの結果が長く効く業務なら長め、その場で終わる業務なら短めです。期間を決めずに残し続けると、消せなくなります。

誰が見られるか

記録を誰でも見られる状態にすると、それ自体が問題になります。見られる人を限り、見たこと自体も記録してください。

社員に伝えること

  • 何を記録しているか
  • どのくらい保存するか
  • 誰が見られるか
  • 何のために使うか(人事評価に使わないなら、その旨も)

規程に書く文の形

規程は読まれません。読まれない前提で、迷ったときに引ける形にしてください。

分量

A4で1〜2枚に収めてください。それ以上になると、誰も読みません。詳しい説明は別紙にして、規程本体は判断に必要なことだけにしてください。

構成

  1. 対象(誰が・どの業務で)
  2. 入れてよい情報・いけない情報(具体例つき)
  3. 確認する人と手順
  4. 記録すること
  5. 迷ったときの相談先
  6. 例外を認める条件と、認める人

書き方

避ける書き方 直した書き方
適切に管理すること 利用記録を1年間保存し、四半期ごとに◯◯が確認する
慎重に取り扱うこと 社外に出す文書は担当者と◯◯の2名が確認する
原則として禁止する 禁止する。ただし◯◯の承認を得た場合に限り認める
必要に応じて いつ・誰が判断するかを書く

「原則として」を使わない

「原則として」と書くと、例外の条件が曖昧になります。禁止するなら禁止し、例外を認めるならその条件を書いてください。曖昧な規程は、都合よく解釈されます。

改定の記録を残す

いつ・なぜ変えたかを残してください。営業のやり方が変わったから変えたのか、事故があったから変えたのかで、次に読む人の理解が変わります。

決めたあと、実際に回すには

規程を作った時点では何も変わりません。変わるのは、現場が迷わずに判断できるようになってからです。

具体例が命

「機密情報を入力しないこと」とだけ書かれた規程は、現場では使えません。何が機密かの判断が各自に残るからです。営業で実際に扱う書類やデータを材料に、入れてよい例と駄目な例を10個以上並べてください。他部門の例では判断できません。自分たちの業務の言葉で書かれていないと、規程は読まれず、読まれても使われません。この作業に半日かけるだけで、規程の実効性がまったく変わります。

相談先を書く

規程に載っていない場面は必ず出ます。そのとき誰に聞けばよいかが書かれていないと、現場は「各自の判断で使う」か「怖くて使わない」のどちらかに振れます。どちらも望ましくありません。相談先を名前か役割で書き、相談したことで責められないことも明記してください。相談が来ていないなら、それは問題が無いのではなく、相談先が知られていない可能性が高いです。

守れない規程は直す

半年に一度、規程と実態が合っているかを確かめてください。合っていなければ、実態のほうを直すのか、規程のほうを直すのかを判断します。業務のやり方が変わったのに規程が古いままなら、規程を直すのが正解です。守れない規程を残すと、その規程だけでなく、規程全体が軽く扱われるようになります。「どうせ守られていない」という空気は、いちばん守ってほしい部分にも及びます。

記録は監視ではないと伝える

利用の記録を取ることは、社員に先に伝えてください。隠して取り、あとで分かったときの損失は大きいです。何を記録し、どのくらい保存し、誰が見られ、何のために使うかを公表してください。人事評価に使わないなら、その旨も書いてください。目的が示されていれば、記録されること自体への抵抗はほとんど出ません。

禁止と同時に道を用意する

使ってよいサービスを決めるとき、禁止だけを決めて代わりを用意しないと、隠れて個人アカウントが使われます。これがいちばん危ない状態です。何がどこに送られたか、誰も把握できません。禁止するなら、同じ用途を満たせる法人の環境を必ず同時に用意してください。多少不便でも、使える道があれば、人はそちらを使います。

規程を一言でまとめると

ここまで書いたことは、突き詰めると3つです。入れてよい情報を具体例で示す。確認する人を名前が入る形で決める。記録を取ることを先に伝える。この3つがA4一枚に書いてあれば、顧客の声を商品開発につなげるでAIを使う準備としては十分です。分量を増やすほど読まれなくなるので、増やさないでください。

作ったあとにやること

配って終わりにしないでください。実際の案件を1件使って、「この情報は入れてよい、これは駄目」を説明してください。この15分があるかないかで、規程が使われるかどうかが決まります。そして半年後に、実態と合っているかを確かめてください。合っていなければ、守れないほうを直します。守れない規程を放置すると、規程全体が軽く扱われるようになります。

同じ営業・商談の業務

営業・商談では、次のような業務でもAIが使われています。まとめて考えると、道具を共通にできることがあります。

業務ごとに別々の製品を入れると、契約も管理も記録もばらばらになります。同じ部門の中で似た技術を使う業務があるなら、まとめて1つの製品でまかなえないかを先に確かめてください。まとめられれば、費用が下がるだけでなく、覚えることも1つで済みます。逆に、無理にまとめようとして、どの業務にも中途半端な製品を選んでしまうこともあります。判断の基準は「置き換えたい部分の作業が同じ形かどうか」です。形が違うなら、別々に選んだほうが結果的に安くつきます。

業務 使う技術 任せ方
<a href=”/gyomu-21-dounyu/”>商談の記録を自動で残す</a> 音声認識AI 任せてよい範囲が広い
<a href=”/gyomu-22-dounyu/”>見込み客の優先順位を付ける</a> 需要予測AI 確かめてから使う
<a href=”/gyomu-23-dounyu/”>提案書の下書きを作る</a> 生成AI 任せてよい範囲が広い
<a href=”/gyomu-24-dounyu/”>問い合わせフォームからの返信を速くする</a> 生成AI 任せてよい範囲が広い
<a href=”/gyomu-25-dounyu/”>失注の理由を集計する</a> 生成AI 確かめてから使う
<a href=”/gyomu-26-dounyu/”>メール営業の文面を作り分ける</a> 生成AI 確かめてから使う

営業・商談の一覧を見る

よくある質問

そもそも自社の規模でも効果が出ますか

会社の大きさではなく件数で決まります。商品改善につながった要望の件数を1ヶ月ぶん数えてみてください。月に数件しかないなら、設定と確認の手間のほうが大きくなるので、人がやったほうが速いことが多いです。逆に、担当者が毎日触っている業務なら、会社の規模に関係なく効きます。判断の目安は「担当者がこの作業に週5時間以上使っているか」です。それを下回るなら、いまは見送って、件数が増えたときにもう一度考えてください。

担当者の仕事がなくなりませんか

この業務でAIが置き換えるのは、営業日報に書かれた顧客の要望が、部門をまたがずに埋もれているという部分です。判断と例外処理は残りますし、出力を確かめる作業が新しく増えます。実際には、手を動かす時間が減って、確認と改善に回る時間が増えるという形になります。ただし、この説明を先にしておかないと、現場は身構えます。導入を伝えるときは、機能ではなく「あなたの1日がどう変わるか」から話してください。

失敗したときに元に戻せますか

戻せる形で始めてください。既存のやり方を止めずに並行で動かし、指標が改善してから切り替えます。いきなり切り替えると、戻す判断そのものができなくなります。並行で動かす期間は手間が二重になりますが、その期間があるからこそ、精度も確認の時間も実測できます。「3ヶ月試して合わなければ止める」と先に宣言しておくと、現場の抵抗も小さくなります。

どのくらいの期間で効果が出ますか

慣れるまでに1〜2ヶ月、効果が数字に出るまでにさらに1ヶ月ほどを見てください。最初の数週間は、前のやり方より遅くなるのが普通です。手が覚えていた作業を、毎回考えながらやることになるからです。3ヶ月未満で判断すると、この学習期間をそのまま「効果なし」と読み違えます。判断の時期を導入前に決めて、それまでは途中経過で騒がないと決めておいてください。

社内の反対をどう説得すればよいですか

説得より先に、数字を出してください。いまこの業務に月何時間かかっているかを実測し、3社の見積もりを並べ、3年の総額を出す。この3つがそろっていれば、反対の理由が「なんとなく不安」から具体的な論点に変わります。そのうえで、「一部門で3ヶ月試して、数字が出なければ止める」という形にしてください。取り返しがつくと分かれば、反対は大きく減ります。

どの部署が主導すべきですか

営業が主導するのが基本です。業務を分かっている人でないと、置き換える範囲を決められないからです。情報システムは接続と権限を、経理は費用の妥当性を見る役割で入ってもらってください。情報システムが主導すると、業務の実態と合わない範囲が選ばれやすくなります。逆に業務部門だけで進めると、接続とセキュリティで後戻りします。

小さい会社でも規程は要りますか

要ります。ただし分量は要りません。「入れてよい情報の例」「確認する人」「使ってよいサービス」の3つがA4一枚に書いてあれば十分です。

個人のアカウントで使うのはだめですか

入力内容の扱いが個人契約の条件になるため、業務では避けてください。禁止するなら、同時に法人で使える環境を用意してください。

まとめ

  • 「機密は入れない」ではなく、具体例を10個以上書く
  • 確認者は役職ではなく役割で決める
  • 記録を取っていることを先に公表する
  • 禁止と同時に、使える道を必ず用意する

この業務は確かめてから使うに当たります。出力を人が確かめる工程を挟む。確かめる人と手順を決めてから始める。

最後にもう一度だけ書いておきます。いちばん多い失敗は、道具の選び方ではなく、始める前の準備を飛ばすことです。いまの件数を数える、置き換える範囲を決める、測る指標を決める。この3つが済んでいれば、製品選びで大きく外すことはありません。逆に、この3つを飛ばして製品から入ると、どれだけ良い製品を選んでも「効果があったのか分からない」で終わります。